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症例報告

痛くない鍼での有効症例

令和2126

増本 有哉

痛くない鍼での有効症例

 

はじめに

外的な要因によって患部が刺激に対して敏感になった患者さんに鍼治療を行いました。このような状態に対して鍼治療をする経験は初めてでしたが患者さんにできるだけ苦痛を与えない様に施術して良い治療効果が得られているので今回発表させて頂きます。

症例

氏名 Tさん

年齢 52

性別 男性

職業 製造業

初診 H314.23

主訴 右背部痛 右下垂指

平成3011月の終わりに右前胸部と右背部に痛みがでてそれと同時に右手を開くことができなくなり指の伸展ができない状態になった。
背部の痛みが強かったので平成3012月に別の治療院で鍼治療を2.3回受けた。その時の治療で背部痛の痛みは軽減したが治療後背部が重だるくなって翌日の午後まで残って嫌な感じがするので鍼の刺激が恐くなった。

症状 平成314月の時点では右背部が慢性的に痛だるさを感じる。右手の握力低下。右手のMP関節伸展制限。箸を上手く扱えない。

使用鍼 ステンレス鍼 0.14mm×40mm 

1回目 4.23

施術部位 右肩甲骨内側 右胸椎側から右頚椎側

1本目で鍼先を皮膚に置いた状態ですぐに刺激が鍼先を当てた所から胸の方にズーンと重たさがでると患者さんが訴えられた。刺激に対してかなり敏感だったので刺入せずに皮膚に軽く鍼を置くように処置した。

2回目 5.11

施術部位 同部位

前回処置後翌日になると鍼の刺激は取れた。(昨年受けられた治療の時と比べると鍼治療後の刺激は嫌な感じではなかった)。刺激が前回少し残ったので治療部位を絞って刺入せず処置した。示指と中指が開きやすくなった。

3回目 5.22

施術部位 同部位 右肘外側〜前腕後面を追加

背部の痛みを感じる範囲が狭くなってきた。皮膚に対して鍼先の圧を少しかけられるようになってきた。少し圧をかけすぎると刺激が胸のほうまでズーンと重くなる。刺激が残り過ぎないように心掛ける。
小指の伸展ができるようになった。小指が動かしやすくなって他の示指〜薬指の動きにくさが目立つ。

4回目 6.7

施術部位 同部位

右肩甲骨内縁の痛みは慢性的に感じていたのが今は時々感じるような状態になった。

5回目 6.28

施術部位 同部位

背部の敏感度が改善した。右背部の所見に対して3mm処置した。大きな症状の改善がみられるようになりました。

6回目 7.17

施術部位 同部位

714日に皆生トライアスロンでスイムを泳いだ。今までトライアスロンをされている事を把握してなかった。その時に運動歴について確認した。右背部の緊張が前回よりも強い。背部のだるさをずっと感じる。
箸で細かい物を掴めるようになった。

7回目 8.2

施術部位 同部位

右背部の敏感度がさらに少なくなった。肩甲骨内縁10mm右頚椎側は15mm処置した。鍼先の重たさを感じることはなかった。両手で水をすくってこぼれずに顔を洗えるようになった。

8回目 8.21

施術部位 同部位

背部痛は更に痛みが軽減してきた。右手が開きやすくなった。

9回目 9.20

施術部位 同部位

9月の始め、精神的にストレスがかかることがありその時右肩甲骨内縁が1回ズキッと痛みがでた。背部が刺激に対して敏感になっている。鍼先を刺入せず皮膚にそっと当てるように処置した。

10回目 10.4

施術部位 同部位

右背部の痛みが慢性的に感じる。前回同様敏感。指の屈曲時に力が入るようになってきた。

11回目 10.19

施術部位 同部位

右背部は少しだるさを感じる程度になった。前回よりも少し鍼先に力をいれられるようになった。握る力がついてきた。仕事で5kgの鉄を右手で持つことができた。

12回目 11.1

施術部位 同部位

背部の敏感度が改善した。右肩甲骨内縁10mmまで処置。刺激に対しての重たさを感じなくなっている。大山に紅葉を見に行った時に右手が冷えて一時的に固まったような状態になった。

13回目 11.15

施術部位 同部位

寒くなってきて右手が動かしにくく感じる。示指と中指が動かしにくい。特に箸を扱うのが上手くできなくなってきた。

14回目 11.30

施術部位 同部位

示指と中指は少し力が入りにくいが冷えの影響はそこまで受けてない。

15回目 12.14

施術部位 同部位

右背部痛は感じてない。右手の状態が良くなっている。力が入るようになっている。示指・中指の伸展は可動域制限が見られるが可動範囲内での動かしにくさは感じなくなった。

 

考察

初診時患者さんは以前受けた強い鍼刺激に対して恐怖心がありできるだけ刺激量を抑えて施術をしようと試みましたがはっきりとは掴めませんでした。治療部位を絞り刺激を出さないように患者さんに確認しながら施術し回数を重ねる中で適切な刺激量で施術ができました。以前他院で受けた鍼の刺激と違い、患者さんも痛く無い鍼でも症状の変化を感じられたことで恐怖心もとれてきました。触診所見の変化や症状の改善に合わせて刺激量を調整しながら施術し刺激に対しての敏感度が改善されていきました。
今回の症例では鍼の強い刺激を受けたことによって右背部が鍼の刺激に敏感になったと考えられます。このような状態を変化させるには患者さんにできるだけ鍼に対しての苦痛を与えず施術していくことだと思います。回数はかかりますが刺激量を抑え、痛く無い鍼で施術をしたことで鍼に対して安心感を与え満足してもらえる治療効果につながりました。

 

まとめ

鍼による強い刺激を受けて心身が敏感になっている状態に対して刺激を極力ださず痛くない鍼を行ったことで敏感さも減り症状が改善し私としても満足できる治療効果が得られました。
鍼の臨床を始めて2年目になりますが患者さんに適した刺激量(鍼先の感覚や触診の変化)で掴むことは難しく感じていますが今回の症例を経験して苦痛を与えない様な刺激でも目的の処置を行うと鍼の治療効果が高まることを再確認できました。
この経験を今後の鍼治療に活かしていきたいと思います。













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