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令和1年1月26日
森脇 安浩
足の疾患に関する鍼治療
整形外科分野でも医療ガイドラインの策定が進んでおり高水準の医療がこの地域でも受けられるようになってきています。
その中で高水準の医療を受けていても症状の改善がしにくい下腿部・足部の症例を続けて診させてもらう機会があり、鍼治療で改善した症例がありましたので報告します。
症例報告
症例1 足関節捻挫
氏名 Mさん
性別 男
年齢 28歳
職業 自衛隊員
初診日 平成26年5月10日
主訴 左足関節捻挫
現病歴 令和1年8月(2ヶ月前)に砂利道を歩いていて挫いた。翌日、整形外科を受診。レ
症状 朝起きて動き始める時に痛い。左外果前下方に圧痛。
足関節背屈時に外果前下方に違和感。足関節屈曲時に外果後方に痛み。
治療 左外果周囲の循環改善・可動域改善を目的に左下腿〜足関節周囲までを中心に処
置。
使用鍼 ステンレス ディスポーザブル鍼 0.16×40mm
治療回数 4回
経過 少しずつ足関節可動域が拡がってきて痛みも改善されていった。
左外果前下方の触診所見が変化するにつれて症状が改善した。
症例2 足底腱膜炎
氏名 Kさん
性別 男
年齢 38歳
職業 自衛隊員
初診日 平成19年4月13日
主訴 左足底腱膜炎
現病歴 平成30年9月(1年前)から発症。寛解・増悪を繰り返していた。
症状 動作開始時に左足底の踵前側と左アキレス腱が痛い。
治療 左下腿後面と左下腿内側の筋緊張を緩めて足部の循環改善と足底・アキレス腱にかかる負担を軽減するように処置していく。左アキレス腱と左下腿内側下部の触診所見が変わると症状が改善した。
使用鍼 ステンレス ディスポーザブル鍼 0.16×40mm 0.14×40mm
治療回数 1回
経過 治療直後痛みが軽減し、2ヶ月後来院された時には足底の痛みは消失していた。
氏名 Iさん
性別 女性
年齢 17歳
職業 高校生
初診日 令和1年9月20日
主訴 右下腿前面痛
現病歴 以前から下腿前面が痛かったが最近痛みが特に強くなった。整形外科に受診して
症状 右足関節屈曲・伸展で右下腿前面・右下腿外側に痛み。
治療 右下腿前面と右下腿外側の循環改善を目的に処置
使用鍼 ステンレス ディスポーザブル鍼 0.16×40mm
治療回数 2回
経過 1回目の治療で右長腓骨筋中央の腫れを引かせることで痛みが改善。深度は浅い層の
氏名 Aさん
性別 男性
年齢 18歳
職業 高校生
初診日 平成29年10月14日
主訴 左腓骨外果骨折・足関節脱臼・靭帯損傷による左足関節痛
現病歴 令和1年9月7日(42日前)にバスケットボールでダンクシュートして着地した時
*病院での見通しは11月の第1週に踵をつけ、12月に運動開、3月に競技復帰を
症状 左足に体重を3分の2以上かけると左足関節全体が痛い。
治療 左足部の循環改善・左足関節可動域改善を目的に処置。その他、運動再開に伴って
使用鍼 ステンレス ディスポーザブル鍼 0.16×40mm 0.14×40mm
治療回数 7回 継続して治療中(2週間に1回)
経過 左足関節の腫れていた状態は回数が進むにつれて範囲が小さくなり、可動域も改善
考察
病院での経過(発症・検査・診断・治療など)をよく聞き、現在の状況を把握してから、患部や患部周囲、疾患に関係する部位を触診し、改めて医療機関からの情報を鍼師としての視点で咀嚼する事の重要性を再認識した。
基本的に病院で症状の改善がみられない、おもわしくない状態にある症例に対して治療をすることは難しい事だと感じてきたが、今回の各症例は、下腿部・足部の状態に対して鍼治療で良い結果が得られた。
進んでいく医療の中で行っている事を理解し、鍼灸師にしか出来ない事を見つけてやっていく事で改善する症例もまだ多く残されているのではないだろうかと意識させられた。
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