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症例報告

トライアスロンレース直後の鍼治療による疲労回復効果の研究

H28131

松本剛典 金森由利子 

トライアスロンレース直後の鍼治療による

疲労回復効果の研究

 はじめに
皆さん多くのスポーツ選手の治療を経験しておられると思います。多様な競技の選手、初心者からベテランまで求められる対応は幅広いものになります。
その中で20年以上皆生トライアスロン大会のレース直後のボランティアをしています。
米子信愛鍼治療院では複合競技であるトライアスロン選手のレース直後の対応法を確認する為に臨床研究をいたしました。

・臨床研究を行うことになった経緯
多くの選手がレース前後の調整・疲労回復また練習に伴う故障の治癒を目的に鍼治療に来院していました。
鳥取県トライアスロン協会・皆生トライアスロン協会に情報提供をし、鳥取県トライアスロン協会の推薦を受けてから、臨床研究を湯梨浜町の役員の方が快く受けて下さり湯梨浜町主催のトライアスロン大会(H21 第1回開催)ハワイトライアスロンin湯梨浜大会に第4回目の大会(H24)から臨床研究をすることとなりました。

・トライアスロン競技の概要

ジュニアA スイム375m バイク11.5km ラン2.5km
ジュニアB スイム750m バイク23km   ラン5km
一般   スイム1.5km バイク40km  ラン10km

・実験目的 レース直後の疲労回復に対する鍼治療の有効性の確認

・実験準備 第1回大会の1週間前から刺鍼部位の決定と練習

*当初、刺鍼部位に前脛骨筋も考えていましたが、処置時間を短縮する為に省略。



・実験内容 
*実験の公正を保つために、鳥取県トライアスロン協会により被験者を選考。


鍼:ステンレス 寸3 1番 *放射線滅菌済み、単包装
刺鍼部位:両下肢(大腿四頭筋停止腱移行部・下腿三頭筋 腓腹筋)
研究に対する留意点:レース直後の選手の治療部位の消毒。

施術者の手指の消毒。
被験者の施術部位の消毒。
上記の消毒に関しては、消毒薬を用いて消毒。

より清潔をきすために、被験者には施術前に入浴・シャワーの使用をお勧めします。
消毒に関してはこちらの要点は完全に実施できました。




*刺鍼部位を下肢に絞った理由
1)トライアスロンレースの特性上、疲労が溜まりやすい部位である。
大腿前面膝上(内側・中央・外側)、腓腹筋起始腱移行部(内側・外側)、下腿後面(アキレス腱移行部)の6ヶ所を刺鍼部位とする。

2)外部から完全に遮断することは出来ないので見られても問題が少ないこと。


3)多くの被験者を診る為に1人30分内に施術可能な部位。

 

・実施場所 ハワイ夢広場(1回目実験のみ)、ハワイトレーニングセンター内(2回目以降)

・準備した物 折り畳みベッド3台、鍼、消毒器、ゴミ袋
シーツ、バスタオル、フェイスタオル、利用券、被験者リスト表

・借りた物 テント(1回目の実験のみ)
ついたて13001800p 3台 18001500p 2 2回目以降、外界から遮断するため) 椅子6脚、車の許可証、治療院名の書かれた看板



・実施時間 10:3013:30
*搬入は8:00までに終わらせる(事務局に挨拶)

*臨床実験は13:30に終了(事務局に報告)

*臨床実験の評価をし実験を継続

*4ヶ月以内に実験結果報告書を作成し事務局に送付。

(鳥取県トライアスロン協会・皆生トライアスロン協会・湯梨浜町)

*レース直後の施術によりその後どのように変化したのか、次のレースに向けての練習にどのように影響したかどうかの確認の為に
被験者の選手に皆生トライアスロン大会直前までの有効期限付き(4週間以内)の利用券(治療費1回分)を渡しました。

     

・実験結果 
1回目(H246月17日

施術者数3人 被験者数8人 男5人 女3人
後日確認5人


2回目(H256月16日
施術者数3人 被験者数16人(ジュニア5人)
男12人(ジュニア4人)女4人(ジュニア1人)
*実験対象外(治療)3人
1人、レース開始直前で時間がなかったため応急処置・徒手
(下腿三頭筋の圧迫を加えて処置)で対応

後日確認9人



3回目(H26)6月22日
施術者数3人 被験者数9人(ジュニア4人)
男7人(ジュニア4人) 女2人
*実験対象外(治療)3人
後日確認8人(ジュニア3人)
*ジュニアの後日確認は今回が初めて。



4回目(H27)6月21日
施術者数4人 被験者数20人(ジュニア7人)
*内3人はリスト外選手

男15人(ジュニア4人) 女5人(ジュニア3人)
後日確認15人(ジュニア4人)
*内1人は、直接ではなく後日来院した親御さんからの報告。

・考察
4回連続で臨床実験と後日確認を行えたことで、鍼の治療が有効であることが分かった。
施術直後に効果が出る選手も多く「足が軽くなった」と言われた。
後日確認では「普段は1週間くらい疲労感が残っているが、今回は鍼を受けてから下肢の疲労が抜け、翌日からトレーニング出来た。」
「閉会式の時に施術した下肢の疲労がなくなり、腰の疲労が目立っていた。」
ジュニアの選手は元々疲労が残ることは少ないが、施術後や後日確認の際に「他の大会後と違った。下肢の疲労感が抜けて楽だった。」と効果を選手自身が実感でき良かった。
2回目以降の実験では認知度も上がりリスト以外の選手の協力や治療目的の選手も増えてきた。
実施者の私たちの対応も習熟しそれが被験者数の増加に影響を出しているかもしれない。

・課題 
1.症例数は増えてきているが制限時間内でより多くの被験者を受け入れ出来るようにスタッフの体制を整える事が必要。
2.下肢以外の部位の施術をするかどうか。
3.施術場所の設備には限界があるため、他者に見られる恐れがあり、特に女性の選手の施術部位に配慮が必要。

まとめ
スポーツ選手へのレース直後の疲労回復に対する鍼治療の有効性が確認でき、選手自身にも効果を実感してもらえました。今まで有効性の実証がありませんでしたが、報告書を提出していたことで主催者にも効果の確認が取れた事と思います。
鍼の有用性の幅を広げ、色々な場面で活かせるようになると思います。

     














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